【JOURNAL#02】イシカワ洋服ブラシ 前編

こんにちは。ATLUCKWATCH代表の井上です。

わたしたちが本当に良いと思う、人、もの、ことをご紹介するJOURNAL。

第2回となる今回は、イシカワ洋服ブラシの代表、石川和男さんにお話をお伺いしました。

 

洋服ブラシでは右に出るものはいないと言われ、真の洋服好きが最後にたどり着くというイシカワ洋服ブラシ。

ものづくりの哲学や、誰も言えないアパレル業界の裏側まで、1本のブラシに込められたストーリーをぜひお楽しみください。

 

 

イシカワ洋服ブラシに出会うまで

井上:ウチのショップはカシミヤストールを取り扱い始めて、今年で4年目なんですが、ずっと悩み続けていたのがお手入れや洗濯のことなんです。

一般的にカシミヤストールやマフラーはドライクリーニングするのが常識ですが、微妙に風合いが変わってしまうのが嫌で。

 

ブラッシングに関しても、20本ぐらい色々なメーカーの洋服ブラシを購入してみたんですが、どれも毛が硬かったり、毛が広がってきてしまったり…。

唯一自分が使いたいと思えたのが、イシカワ洋服ブラシだったんです。

 

そこで取り扱いさせてくれませんか?というメールを送ったら、石川さんからものすごい剣幕で怒っている返信がきた(笑)。

原因はウチが以前掲載していたブログだったんですが、全く洋服ブラシやメンテナンスのことを理解してないと(笑)。

そこですぐにお会いしたいとお電話して。会いにいったのが一番最初です。

 

 

石川:ファッション業界の方は、デザインだ、シルエットだってところは一生懸命なんだけど、「じゃあ日常これをどうやってケアするの」って言ったときに、誰も何も答えがない。

日常のケアに対して誰も答えてないっていうことは、お客さまが完全にスポッと抜け落ちてるわけですよ。

 

大事なのは日常ですよね。売る方も「お似合いですよ」だけで、お客さまは満足できるのかっていうこと。

実際、ウチに相談にきたあるお客さまが、洋服をクリーニングの高い方に出したそうなんです。でも仕上がってみると光沢がなくなっちゃう、ごわごわしちゃってると。

「これどうするの」って言ったときに、誰もそこをケアしてない。するとお客様も「こんなもんかな」って諦める。

 

 

石川:高い金使って、神経痛めて、最後は諦めてって言ったら、お客さまが一番バカ見てるよねっていう状況。

その問題点を何とかしようと思って作った結果がイシカワ洋服ブラシなんです。

この話を有名なブランド店の店長と話してたら、「そんなことを言って、スーツが長持ちされると次が売れないから」なんて。

「それ止めないか」って言ったの。

 

 

石川:日本が高度成長の頃なら、やれ使い捨ては文化だとか、消費は美徳だとか。その結果が「ごみの山」じゃないですか。

これだけ物が溢れて、お客さまの目も肥えてきて。ファッションが好きな人は「スーツは去年のがあるから、今年は買わないよ」って言う人はいない。

本当にファッションが好きな人は、買います。

それよりも、日常のケアだとか、コンディションをきちんとすることを伝えて「これいかがですか」っていう提案をして差し上げると、その販売員とお客さまとの信頼関係も深まるはずなんじゃないかと。

 

 

わたしたちがイシカワ洋服ブラシにこだわる理由

井上:僕らが作っているエドワードブラウンというブランドは、5年10年とワードローブのスタンダードになるようなブランドになってほしい、という想いでつくっています。

5年10年カシミヤストールを愛用し続けていただくためには。お手入れの道具、最高のブラシが絶対に必要だと思っています。

ストールを手にとっていただくことも大事ですが、きちんとお手入れ方法を伝えて、永く愛用していただける様にしていかなければならないと思ったんです。

 

 

石川:正直に言うとね、商売だけでみたらやりにくいですよ。洋服ブラシの概念からすると1万5千円だって高いですからね。

井上:ただカシミヤのケア、お手入れのことを深掘っていくと、イシカワ洋服ブラシしかないんですよ。

石川:そうなんですけどね。それをご理解いただくまでのウチのプロセスって。エラい大変ですよ。

 

 

5万円のブラシでもいいですか?やっぱり12万円のものがいいでしょうか?

井上:エドワードブラウンのストールなんですが、実は結構若い方も買ってくれているんです。

その時に、毎日のお手入れにも気を配って欲しいんですけど、ストールの何倍の価格のブラシを本当に買ってくれるかってところもあるんですよね。

 

石川:若い子なんかね、5万円でも相当無理してるんですよ。5万円のブラシだと、スーツ、コート、厚手のカシミヤストール。このあたり中心だったら、このクラスでもいいだろうと。

だた良いものほど、用途はうんと広くなりますよ、ってことです。

 

 

石川:よくウチにもお問い合わせがあって「5万円のブラシは、セーターやニットはダメですか」って言われるんだけど。

ウチのランクで言うから違いがあるんで。他所のブラシと比べるんだったら、ウチの5万円のブラシだって、はるかに良いはずだからね。

だから最終的には、お客様が価値判断してくださいって言ってます。

 

井上:カシミヤ製品って色々なところで売ってますが、アパレルメーカーは、素材の特性やお手入れを正しく伝える義務があると思うんですね。言いにくいことも含めて。

イシカワ洋服ブラシを「買う」「買わない」の選択は、お客様の判断です。

ただ少し無理をしても、洋服を買うのを我慢してでも、良いブラシを一本手に入れておくのは、長い目で見れば凄く合理的なんですよね。

それをきちんと伝えていきたい。

 

 

石川:高い安いの判断基準なんだけど、絶対金額だけ見れば1万5千円が安くて、12万円が高いってのは分かりますよ、誰でも。

ただ実際に使える用途、その効果っていうことを長い目で見たら、ウチの12万円のブラシは安いって思います。

その対価価値っていうのかな。その辺を冷静に見て頂けるかどうかということですね。